山本雄基 Yuki Yamamoto

山本雄基展

2021.4.22 〜 2021.5.24

OIL by 美術手帖ギャラリーではこのたび、山本雄基の個展を開催いたします。札幌を拠点とし国内外で活躍する山本は、さまざまな色彩や大きさの円が散りばめられた鮮やかな絵画で知られるペインターです。
山本の絵画は、土台となるキャンバスにアクリル絵具のメディウムによる透明な層を広げて研磨し、そこへ不透明な絵具で多数の円形を描写、さらに透明な層を重ねるといった工程を10層以上繰り返すことで生まれます。
山本は、色彩の円と、くり抜かれた円=ヴォイド(穴、空虚、無)を無数に並べ描写することによって、鑑賞者が実際に知覚する以上の複雑な奥行きをつくりあげます。一見無作為に見えるその円の重なりは、山本自身のなかで設定された法則によって決定されます。ヴォイドの重なりは、絵画における空間や、表層と深層、意識と無意識、不確かさなどを表し、円という要素と絵画の物質性を融合させることで、山本は一貫して「絵画の可能性」を追求し続けてきました。本展では、新作11点を発表します。この機会に是非ご高覧ください。

 

■作家より本展に寄せて

物事には、自身でコントロールできること、できないことがある。思いがけない外的要因に出会った際の判断や振舞いで、個の可能性は拡がっていく。
認知しづらい両義的な領域に、豊かさを見出したい。しかしただ曖昧に身を置くのみならば、半端な自然状態の受容にすぎない。時に理不尽も受入れながら、能動的に選択、決定していくこと。絵画制作は、僕がそれらを直接体感するための場であり、希望の可視化とも言える。

重層的な透明層の中に、色の円と、色をくり抜くヴォイド(=穴、無、虚)の円を重ね、実と虚の交錯を繰り返す。階層を超えて位置する円と円に関係を持たせ、法則性(またはその破棄)を与える。円は無個性かつ根源的な形の強さを持つ。点でもあり、領域でもある。多くの事柄を代入できる象徴にもなり得る。
色彩は、相互関与することで無数の複雑な解釈を持った存在になる。物質はいつも、意識の外側へ僕を誘導する。

円をどのように配置するのか、いかにして自身の感覚を拡張させたような配置が可能なのか、そのための手法もさまざまに振り分けている。
近年ではいくつかの作品で、専用のPCアプリをプログラマに依頼し、乱数による描画システムを導入している。これもまた、自身の生み出す抽象性に外的要因を取り入れるためのひとつの実践の一例である。

山本雄基

 

 

■作品販売について
本展出品作品は、4⽉24⽇(⼟)16:00にオンライン販売サイト「OIL by 美術⼿帖」(https://oil.bijutsutecho.com/)にも公開いたします。(会場での販売開始後の公開となりますので、作品によっては公開時にSOLD OUTの可能性もございます。予めご了承ください。)

 

■展覧会概要
山本雄基展
会場 OIL by 美術手帖
会期 2021年4月22日(木)〜5月24日(月)【5/13更新】
開場時間 11:00〜20:00
※新型コロナウィルス感染拡大防止による渋谷パルコの臨時休業に伴い、OIL by 美術手帖も休業しておりましたが、5月14日(金)より営業を再開いたします。それに伴い、展覧会会期を当初より延長いたしました。

※渋谷PARCO全館において営業時間を変更しています。
※OIL by 美術手帖の営業時間は館の営業時間に準じます。状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。 https://shibuya.parco.jp/
住所 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ2階
電話番号 03-6868-3064
MAIL oil_gallery@biutsu1905.co.jp
観覧料 無料
アクセス 渋谷駅ハチ公口徒歩5分

Artist Profile

山本雄基 Yuki Yamamoto

1981年北海道帯広市生まれ。札幌市在住。2007年北海道教育大学大学院 教育学研究科教科教育専攻美術教育専修(西洋画)修了。12〜13年まで、札幌市の助成を受けベルリンに滞在。17年よりnaebono art studio共同運営。近年の主な個展に、18年「OHNE TITEL. WENN ÜBERHAUPT, DANN EINE HYPOTHESE: MALEREI ÜBER ÄQUIVALENTE DIFFERENZEN」(MIKIKO SATO GALLERY、ハンブルク)、山本雄基展(板室温泉大黒屋、那須塩原)、20年「PLACE OF HELLO」(MIKIKO SATO GALLERY、ハンブルク)、山本雄基展(板室温泉大黒屋、那須塩原)ほか。主なグループ展に、19年「接ぎ木 Grafting」(Art Space & Cafe Barrack・瀬戸、naebono art studio・札幌)、「Flatten Image 山本雄基・浦川大志展」(ギャラリー門馬、札幌)、21年「Endless ―流転する景色、繰り返す意識の中で— 山本雄基・牧田愛・木下令子」(Tokyo International Gallery、東京)ほか多数。