このたびOIL by 美術手帖では、7月8日(水)〜26日(日)にかけて展覧会「PARALLEL ARCHEOLOGY」を開催します。本展は、東京を拠点に活動するアーティストのBIEN、ロンドン在住のLucas Dupuy、東京・世田谷にあるショップ兼アトリエ「Out of museum」のオーナーでアーティストのMakoto Kobayashiによるグループ展です。
3名のアーティストがコレクションしてきた収集品を基軸に、BIENによるキュレーションのもと展覧会を構成。それぞれのアーティストによる新作のほか、本展にあわせて制作されたエディション付き特装ZINEも発売いたします。
三者三様のコレクションから発想された作品同士が響き合い、「PARALLEL ARCHEOLOGY=既存の時間軸や価値観に定義されない考古学」としての時間を紡ぐ場となる本展を、ぜひお楽しみください。
〈展覧会ステートメント〉
アーティストである僕らがモノを収集することは、いわゆるコレクターのそれとは異なる。
僕らの場合は、モノを用途や価値ではなく、あくまで質感・大きさ・匂い・形などの感覚によって測っている。
そういうモノは単なる情報や物質としてだけではなく、想像力を膨らます装置として、もしくは記憶の断片としても考えられ、収集すること自体が巨大な物語のページをめくる行為となる。そして、そこで作られた物語こそが次にどのような作品を作るべきかを決めるきっかけとなっていく。
「PARALLEL ARCHEOLOGY」とは、ひとつの時間軸や価値観で定義されない考古学という意味である。本来モノには作られた意味や固有の文脈が存在するが、PARALLEL ARCHEOLOGYではそこから離れて、個人個人の観点でそのモノの意味や文脈を切り離し、個人の価値観で再定義する。それはモノを一つひとつの単体として考えるのではなく、収集していく過程で個人的な文脈を育て、コレクションをひとつの物語として再認識するということだ。
つまりモノを収集するアーティストにおいては、そのような「モノから物語を紡ぎ出していく」過程のなかで、物語の分岐点(ターニングポイント)としてアート作品の制作という行為が生まれくるのだ。
今回の展覧会は僕とイギリス人アーティストLucas Dupuyと、羽根木にある「Out of museum」の店主であるMakoto Kobayashiさんの合同展である。
3人は異なるものの収集家だ。僕は時代や文脈を問わずおもちゃやキャラクターグッズなどを集めているし、Lucasは近代建築から古代遺跡まで幾何学形態の構造体をリサーチしている。Kobayashiさんにいたっては古今東西から奇妙なものを集めたアトリエ兼ギャラリーショップ「Out of museum」のオーナーである。それぞれは異なる観点でモノと向き合いながらも、どこか興味が交差することがある。
言葉や理論では説明しきれないないが、「あれがいいよね」という感覚はすごく確かなものとして存在する。
それはまるで、それぞれの「モノをめぐる物語」が交差し合うような不思議な感覚である。
今回の展覧会は、まさにそれぞれの収集物や作品が交差し合う場所となり、作品は物語の一部として定義され、他のモノ達と一緒に展示される。そして異なる物語(アーティストの収集)によって集められたモノや作品たちが、それぞれの物語を互いに侵食したり、シンクロナイズしたりする。それはこのギャラリーという空間だけではなく、PARCOの店舗においてある商品達と関係性を作り出すかもしれないし、渋谷という街にあるモノの破片と結びつき、新たな物語を作り出していくかもしれない。
BIEN(執筆協力|松下徹)
〈作品販売について〉
本展出品作品の販売は、渋谷パルコ2F店舗「OIL by 美術手帖」(oil-gallery.bijutsutecho.com)では7月8日(水)11:00から、ECサイト「OIL by 美術手帖」(oil.bijutsutecho.com)では7月9日(木)11:00からとなります。
〈関連商品〉
本展の開催にあわせ、1冊ずつすべて手作業により製作された展覧会図録ZINEを販売します。部数限定、エディション付き、価格未定。
〈展覧会概要〉
タイトル PARALLEL ARCHEOLOGY
アーティスト BIEN、Lucas Dupuy、Out of museum(Makoto Kobayashi)
キュレーション BIEN
会期 2020年7月8日(水)〜26日(日)会期中無休
開場時間 11:00〜21:00
※開館状況・開場時間は、渋谷パルコの営業時間に準じます。渋谷パルコ公式ウェブサイトをご確認ください。
Artist Profile
BIEN / Lucas Dupuy / Out of museum(Makoto Kobayashi)
BIEN ビエン
1993年東京都生まれ。ドローイングを表現するアーティスト。ストリートカルチャーやアニメーションやフィギュアから影響を受けており、これらの文化の持つ様々な表現様式を受け継いだ抽象絵画制作やインスタレーションを展開。記号的な意味の解体と再構築を試みる。
Lucas Dupuy ルーカス・デュプイ
1992年イギリス生まれ。ロンドンを拠点に活動。自身の失読症(ディスレクシア)の体験から、文字のかたちと構造物のかたちを抽象化し、自身のための新しい言語として落とし込む。ドローイングや絵画、デザインを組み合わせた作品を発表している。
Makoto Kobayashi コバヤシマコト
1960年長野県生まれ。東京・羽根木にあるアトリエ兼ギャラリーショップ「Out of museum」オーナー。虫が好き。