このたびOIL by 美術手帖ギャラリーでは、Sablo Mikawaの個展「Oilpaintings」を開催いたします。
2014年よりペインターとして活動を開始したSabloは、旅先で出会った人々や風景、自身が触れてきたカルチャー、幼少期の体験などから着想を得て油彩画を制作。極端に頭が小さい人物のポートレイト「Giant36」や、架空の家族の肖像を描いた「FAMILY HISTORY」といった作品を発表してきました。その絵画には、ヒップホップ、スケートボード、グラフィティー、カンフーやヤンキーなど、東関東エリアで少年期を過ごしたSabloが影響を受けてきた様々な文化が反映され、確かな画力のもとにユーモアと写実性が同居しています。
前回の個展からちょうど1年ぶりとなる本展覧会では、HAITSUのKotaro Hosonoがキュレーションを手掛け、新シリーズ「HOMAGE」を中心に、Sabloがこの1年向き合ってきた作品が一堂に並びます。
Statement
Sabloにとって最も“くそかっこいい”メディアは油絵だった。自分が選ぶべきメディアはそれ以外ない。今まで追求し続けてきた一枚のキャンバスの中におけるストーリー性、人物の身体への誇張表現やエフェクトはSablo自身が敬愛してやまない近世・近代の油絵作品に強く影響を受けている。Sabloは常に、油絵に心動かされ、だから油絵を描いてきた。
美術館でとある絵を目の前にした時、Sabloはその画面に魅せられ、気付くと作品に触れていた。係りの人に注意された。それだけその絵画の中の世界に没入していた。
描かれた人々、生きものたちの心情。そこに漂う匂いや温度。そしてその作品を描いた作家のことを考えると涙がにじむ。
200年以上も前のいつの日かに、自分と同じように、同じ材料で苦しみながら、悲しみながら筆を動かし続けていた作家たちに出会った気がした。
その後、彼は大好きな作家たちと向き合うために「HOMAGE」シリーズを描き始めた。
クールベの黒い犬を連れた自画像、フリードリヒの冬景色や雲海の上の旅人から多くのことを感じ取った。死や運命の虚無的状況としての雪の景色、人間がどんなに立ち向かっても決して抗うことのできない圧倒的な自然と運命の力。それでも、たくましく生きていかなければいけない人間の姿が描かれていた。
2021年の様々な事象の影響で、思うように動けなかったり、自分自身の老いや死、そして打ち破ることのできない閉塞感を強く感じる瞬間があったとSabloは語る。
そんななかSabloはこれらの絵画に共感を覚え、畏れを抱きながらも自分なりに物語を読み解き、そしてそこに一筋の希望とサブロ感を加えた。
それは背景の遠くに広がる明るい空。そばに寄り添う一匹の相棒。折りたたまれた長い脚。こちらを見つめる力強い目。強大な自然に立ち向かう巨人の背中だ。
Sabloのことを救い、道を示してくれたのはいつだって、今は亡き画家たちが遺していった数々の名画だった。
同じように、Sabloの作品が何百年も旅をして、いつか誰かがどこかでそれに出会った時、どんな物語が生まれ、どんなことを感じてくれるのか。
そんなことを考えると、絵を描くことはとてもロマンティックな行為のように思う。そして、多くの人に彼が紡いだ物語が届くことを心から祈っている。
Text by Kotaro Hosono (HAITSU)
販売について
本展出品作品は、店頭・アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて販売いたします。
オンライン販売|1月22日(土)16:00〜
販売URL|https://oil.bijutsutecho.com/gallery/733
※事前のセールスで一部の作品販売が終了することがございます。
※オンライン販売は会場での販売開始後の公開となります。
展覧会概要
Sablo Mikawa「Oilpaintings」curated by Kotaro Hosono
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
会期|2022年1月21日(金)〜2月7日(月) ※会期中無休
オープニングレセプション|1月21日(金)18:00〜20:00
開場時間|11:00〜20:00
入場|無料
主催|OIL by 美術手帖
お問い合わせ| oil_gallery@bijutsu1905.co.jp
※OIL by 美術手帖の営業時間は館の営業時間に準じます。状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。 https://shibuya.parco.jp/
Artist Profile
Sablo Mikawa
Sablo Mikawa / サブロ ミカワ
1987年埼⽟県⽣まれ。東京都在住。幼少期の頃の体験や、⾃⾝の敬愛するカルチャー、映画などから着想を得て、動画の⼀場⾯の描写や、無⾻さを強調した⼈物画など、様々なシリーズ作品を油彩で描く。
【展覧会歴】
2017年 個展「Hard liner」(Alt_Medium、東京)
2018年 グループ展「EPIC PAINTERS」(THE blank GALLERY、東京)
2019年 個展「UNCOUTH FELLOW」(THE blank GALLERY、東京)
「100人10」出展(代官山ヒルサイドフォーラム、東京)
アートフェス「結い市」出展(茨城)
2020年 ART FAIR「EASTEAST」出展(ログズビル、東京)
「100人10」出展(ログズビル、東京)
2021年 「JOURNEY」(BAF Studio Tokyo、東京)
細野晃太朗 / Kotaro Hosono
1986年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、渡米を経て、2013年、半蔵門にオルタナティブスペース「ANAGRA」を創立。東京のアンダーグラウンドカルチャーに根ざしながら「生活の中の選択肢にアートを取り入れること」をモットーに、音楽からアート、そしてファッションをクロスオーバーさせた企画を展開。手がけたエキシビションは100を超え、カルチャーからコンテンポラリーアートまで幅広いフィールドで活躍するアーティストを数多く輩出。内装やギャラリーのディレクターなど様々な活動を経て2021年6月、西荻窪に予約制の鑑賞室HAITSUをオープン。月に1回のペースで自身と関係の深いアーティストのエキシビジョンを企画している。