このたびOIL by 美術手帖ギャラリーでは、山口大樹の個展「HUMANS SLOWLY BUILD A LONG SOUL」を2025年3月7日(金)〜31日(月)に開催いたします。
山口大樹は1994年生まれのアーティスト。大学ではテキスタイルを専攻し、服飾の技術を用いた布製の立体作品や、アクリル絵画、粘土など、さまざまな素材を使って作品制作を続けてきました。
布でできた権威的でない王冠、スニーカーを履いた犬のようなキャラクター、植物と体が混ざりあった人物などが登場する、曖昧で不思議な世界。絵本のようにファンタジックなその物語の世界を、山口は持ち前の色彩感覚と丁寧な仕事で静かに広げていきます。
山口の制作は、手を動かしながら出てきた形をなにかに見立てることから始まります。そこから想像力が膨らみ、つぎつぎとイメージが描き出され、観客を巻き込みながら物語が展開していきます。また、ペインティングや塑像にとどまらず、キャンバスを彩るフレームや立体作品を収めるための箱まですべて自作し、作品世界の中と外を巧みにつなぎ合わせていきます。
山口が日々繰り返してきた「制作する」という行為は、作家自身が語るように「作者の魂を転写する」ことです。そして、内なるものを外化する力こそが、創作の本質ともいえるでしょう。展覧会タイトル『HUMANS SLOWLY BUILD A LONG SOUL』のとおり、私たちは自身や他者の想像力によって魂を育み、ゆっくりと力をたくわえていくのかもしれません。
5年ぶりの個展となる本展では、2022年頃から近年に制作されたペインティングや立体作品など約60点を展示します。山口が描き出す終わりのない物語の世界を、ぜひご高覧ください。
□アーティスト・ステートメント
ドイツの生物学者ヤーコプ・フォン・ユクスキュルさんが提唱した”環世界”という生物学の概念があります。それは、動物はそれぞれ種特有の知覚世界をもって生きており、普遍的な時間や空間も主体にとって独自に知覚されて、その感覚をもとに行動しているという考え方です。
そして、作家はそれぞれの視点で表現を行います。自分の場合は、雲に動物を、壁の染みに顔を見るように、蓄積された記憶をたどり絵を描きます。それは僕にとっての”環世界”であり、見聞きした事物の投影として確かに存在します。幽霊や異世界や魂が本当にあるかは分かりません。それらは人間の”環世界”で生まれた架空の概念かもしれません。しかし、そんな得体の知れない何かが存在しうる世界は魅力的です。だからこそ、作品はたとえファンタジー的表現だとしても、制作そのものはリアルで、作者の魂が転写されるように思えます。
その上で、僕が思う芸術の本質は”癒し”であり、良い作品に出会うと心が満たされます。ある意味では、制作そのものが最大の癒しにもなります。それは、閉じ込められて外に出たがっているキャラクターや場面が、作品として表現されることにより、心が軽くなるからかもしれません。「HUMANS SLOWLY BUILD A LONG SOUL」本展のタイトルは、絵画として表現されたイメージが生まれた物語の名前です。これからも物語は果てしなく続き、恐ろしい怪物と戦う時もあるでしょう。ただしその道中で、人間に限らず気の合う友を見つけることが出来れば、きっと険しい旅も悪くないはずです。
山口大樹
□作品販売について
本展出品作品は、会場および、アートのECプラットフォーム「OIL by 美術⼿帖」にて販売します。
オンライン販売開始|3月10日(月)16:00〜
販売URL|https://oil.bijutsutecho.com/gallery/733
※オンライン公開は、会場販売開始後となるため、公開時点で売り切れの場合があります。
□展覧会概要
山口大樹「HUMANS SLOWLY BUILD A LONG SOUL」
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
会期|2025年3月7日(金)〜31日(月)会期中無休
開場時間|11:00〜21:00
オープニングレセプション|3月7日(金)19:00〜21:00
入場|無料
主催|OIL by 美術手帖ギャラリー
お問い合わせ|oil_gallery@ccc.co.jp
※OIL by 美術手帖の営業時間は館の営業時間に準じます。状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。
Artist Profile

山口大樹 Daiki Yamaguchi
1994年神奈川生まれ。2016年多摩美術大学卒業。2019年原宿のkit gallery で個展を開催。2022年カイカイキキ主催のアートコンペGEISAI#21に参加。
EVENT
オープニングレセプション
3月7日(金)19:00〜21:00
作家在廊予定です。どなた様もぜひお立ち寄りください。