このたびOIL by 美術手帖ギャラリーでは、田村正樹の個展「水と油」を開催いたします。田村正樹は、2018年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業後、2023年に東京藝術大学大学院を修了。学生時代より学内外での発表を重ね、現在も東京を拠点に活動しています。
田村は「自己の内的イメージを掘り下げ、この世界の有り様を捉えること」をテーマとして、油彩画や銅版画など幅広い技法で作品を制作してきました。その作品世界では、自身の想像力のなかで紡がれたフィクションの物語と、社会情勢といったリアルとが混ざりあっています。さまざまな国の文化、文字、時代性が渾然一体となったような謎めいた田村の作品は、見る者に強いインパクトを残し、どこか懐かしさを感じさせ、そのモチーフはときに不穏ながらもおとぎ話のように豊かで遥かな世界を彷彿させます。
また田村は、本展のテーマ「水と油」のように、相反するふたつのものの存在が自身の作品における一貫したテーマでもあると語ります。水と油、生と死、自己と他者など、ふたつの要素の間にあるものを探求することで、世界が二項対立ではなくその「間」も含んでいることを絵画によって証明しようと試みているのです。
本展では、油絵具を用いた新作14点を含む約45点を発表いたします。田村が空想の世界に思いを馳せながら、画家の目を通して掴み取ろうとしている、この世界のいま・ここの有り様を垣間見ることのできる機会となります。ぜひご高覧ください。
■アーティスト・ステートメント
この度、OIL by 美術手帖ギャラリーにて、「田村正樹 個展『水と油』」を開催させていただくこととなりました。新作を中心とした個展形式の展示は、2023年2月の東京藝術大学修了作品展以来、およそ1年ぶりとなります。
本展に際し、P80号の新作《Empty Forest》(2024)をはじめ、14点の新作を描き上げることができました。14点の新作はすべて、油絵具で描かれた油彩画です。油絵具は、個人的にとても好きな画材である一方、技術的・経済的な理由から、大学時代はほとんど制作に用いてこなかった画材でもあり、ある意味、大学院を修了した私にとっての〈やり残した宿題〉の一つと言えるものでした。 2023年10月、第36回ホルベイン・スカラシップ奨学生に認定いただいたことを機に、国内有数の画材メーカーであるホルベイン画材株式会社様からの大きなバックアップもあって、改めて腰を据えて、じっくりと油絵制作に取り組むことができました。
個展のタイトルである、「水と油」とは、私の使用している画材が、「水」溶性絵具と「油」絵具であることに由来しています。また、「水と油」のような〈相反するふたつのもの〉という要素は、私の作品世界に一貫して流れるテーマでもあります。例えば、自己と他者、現実と空想、愛と憎しみ、善と悪、戦争と平和、生と死……といったように、〈相反するふたつのもの〉を同時に並べ、その間にあるイメージを探っていくことが、私の絵画スタイルの一つとなってきました。それは決して、世界を「二項対立」として捉えることでなく、その〈間〉を模索することを意味しています。「水と油」、ふたつの力を手にできたなら、私にとっての絵画の冒険は、もっと遠くへと進んでいけるような気がします。本展を、そんな出発点のひとつと位置づけたいと思います。
田村正樹
■販売について
会場の展示作品は、会場およびアートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」ウェブサイトにて販売します。
・ギャラリー販売期間|2024年3月29日(金)〜4月22日(月)
・オンライン販売期間|2024年4月1日(月)16:00〜
URL|https://oil.bijutsutecho.com/
※作品はプレセールスの状況により展覧会会期前に販売を終了させていただくことがあります。
※展示作品のオンライン公開は、会場販売開始後となるため、公開時点で売り切れの場合がございます。予めご了承ください。
■展覧会概要
田村正樹「水と油」
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
会期|2024年3月29日(金)〜4月22日(月)※会期中無休
開場時間|11:00〜21:00
入場|無料
主催|OIL by 美術手帖ギャラリー
展覧会詳細|https://oil-gallery.bijutsutecho.com/
お問い合わせ| oil_gallery@ccc.co.jp
※OIL by 美術手帖の営業時間は館の営業時間に準じます。状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。
〈オープニングレセプション〉
3月29日(金)19:00〜21:00
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
作家も在廊予定です。予約不要・入場無料。
Artist Profile
田村正樹 / Masaki Tamura
1995年栃木県生まれ。2018年多摩美術大学卒業。19年に愛知県立芸術大学研究生を経て、23年東京藝術大学大学院修了。“自己の内的イメージを掘り下げ、この世界の有り様を捉えること” をテーマに、シート壁画から、手製本した本の作品まで、技法や素材にとらわれない幅広い表現活動をおこなう。
〈主な展示〉
2018年「東京五美術大学連合卒業・修了作品展2018」
2020年「藝大アーツイン丸の内2020」
2021年「KUMA EXHIBITHION 2021」
2022年「YAU STUDIO 滞在制作報告展」
2023年「東京藝術大学卒業・修了作品 展2023」「個展 田村正樹(仮)」
など
EVENT
〈オープニングレセプション〉
3月29日(金)19:00〜21:00
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
作家も在廊予定です。予約不要・入場無料。