鮎川奈央子、金井悠、高橋臨太郎、田中太郎、谷口晋也、中村譲司、根本祐杜、野田ジャスミン、平田万葉、堀江まや、BIEN、DAISAK、DIEGO、NAZE

「渋谷パルコ陶器売り場」

2020.12.12 〜 2020.12.27

このたび「OIL by 美術手帖」ギャラリーでは、12月12日(土)〜27日(日)にかけて、展覧会「渋谷パルコ陶器売り場」を開催いたします。
本展は、京都を拠点とする陶芸家のDAISAK、金井悠、平田万葉の呼びかけにより集った若手陶芸作家と現代美術のアーティストによるグループ展です。参加作家は、鮎川奈央子、金井悠、高橋臨太郎、田中太郎、谷口晋也、中村譲司、根本祐杜、野田ジャスミン、平田万葉、堀江まや、BIEN、DAISAK、DIEGOの13名。作家たち自身が名付けた展覧会タイトルのとおり、百貨店の陶器売り場、あるいはリサイクルショップの陶器コーナーのような空間が、OIL by 美術手帖ギャラリーに出現します。
本展では皿やカップをはじめとする日用品から大型作品まで、個性溢れワクワクする多彩な作品を発表。全作品を購入可能で、一部の作品は展示即売も行い、会場のほかECサイト「OIL by 美術手帖」でも販売いたします。

※展覧会初日となる12月12日(土)は17:00より開場いたします。ご注意ください。

 

□展覧会ステートメント

陶器と一言で言っても様々である。デパートに行けば、技巧を凝らした工芸的なものがあり、雑貨店に行けば、生活で使う日用品や産地の技術や特色を生かした民芸的なものもある。陶芸を用いた彫刻作品はアートギャラリーに展示されているし、百均に売っているノーブランドの真っ白なお皿も陶器だ。それだけ陶器というものはマーケットに溢れていて、多様だ。
今展では13名の作家が制作した陶芸作品が並ぶ。古典的な染付技法で陶芸という行為そのものを現代的なモチーフで描く堀江まや、本来は大量生産を目的とするシルクスクリーンを用いながら固有のポップなスタイルを発見するDAISAK、器の用途性の解体を試みる金井悠、オブジェクト化されたパーツで壮大な空間をイメージさせる平田万葉もいれば、普段はペインターとして活動するBIEN、DIEGOは、今展では陶芸作品を制作している。13名の作家がつくるどの陶芸作品にも、その作家個人がつくり出したオリジナリティが溢れている。

以前、ろくろと手捻りで器を成形する体験をしたことがある。土を捏ねくり形を手探りするなかで、技術的な苦戦もあるが、それよりも何をつくるのか? どこで良しとするのか? など、自問自答に直面した。陶芸制作を行う人たちは、こういった問いにその都度答えを出しながら創作していることを想ったとき、陶芸作品の見方が変わる感覚があった。技術、知識、デザイン、アイデアを土に練り込みながら形を取り、火や風をもコントロールして焼き上げる。多くの工程を段階的に踏みながらも、自身の感性や経験を頼りにつくられた作品は、その一つひとつが確固としてオリジナルである。
コンビニやスーパーで使われているシステム什器は、見やすさや並べやすさに特化したヴィジュアルマーケティングを象徴する棚台だ。そこには必需な物がなんでも揃っていて、その物の価値を一般化させる。今展では、あえてこのシステム什器に整然と作品をディスプレイすることによって、多様な陶器マーケットのなかにありながらも、個々の作品がオリジナルかつ純粋なるものであるということを認識させ、それぞれの作家のスタイルをラディカルな方向へと開放する。そして真に多様であるということはなんであるかを問う。(VOU/棒 川良謙太)

*本展開催にあたり、企画者のDAISAK、金井悠、平田万葉と交流があり、参加アーティストたちの作品も多数取り扱う京都のギャラリーショップ「棒/VOU」代表で、様々なシーンで陶芸を扱う若手作家たちをよく知る川良謙太によるステートメントを発表。

 

 

□参加アーティスト

鮎川奈央子 Naoko Ayukawa
1995年生まれ。京都市立芸術大学院彫刻専攻修了。自らの体験のなかで面白かったり、なんか気になったり、グッときたタイミング、その状況、存在をモチーフにし、それらを記憶から形に変換することを表現としている。

 

金井悠 Yu Kanai
1984年兵庫県生まれ。2009年、京都精華大学修士課程陶芸専攻修了。08年から13年まで、「contactGonzo」のメンバーとして活動。身体を激しく接触させるパフォーマンスやインスタレーションを軸に、森美術館(東京)やMoMA(ニューヨーク)など国内外の美術館、劇場等で発表する。14年から自身の活動を開始。現在、京都を拠点に「出土した玩具」をテーマに制作している。

 

高橋臨太郎 Rintaro Takahashi
1991年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍。自身の身体によって環境に働きかけるパフォーマンスや、立体、映像、インスタレーションなどをメディアに、物質や身体に限界までエネルギー を加え「変化する意識」について思考する。主な個展に、2019年「スケールヒア」(BLOCK HOUSE、東京)、これまで参加したグループ展に、20年「大京都芸術祭in京丹後2020」(京都)、「清流の国ぎふ芸術祭」(岐阜県美術館)など。

 

田中太郎 Taro Tanaka
1990年東京都生まれ。2015年、京都精華大学大学院芸術研究科前期博士課程修了。17年、素材研究バンド「monolith&soilmans note」結成。現在、岐阜県多治見市を拠点に活動。

 

谷口晋也 Shinya Taniguchi
1978年京都生まれ。2003年、京都市立芸術大学大学院陶磁器修了。日常食器や茶具、水をテーマにした立体造形など「やきものつくり」として活動している。

 

中村譲司 Joji Nakamura
1981年大阪府生まれ。2003年、京都精華大学芸術学部造形学科陶芸専攻卒業、河島浩三、喜信氏に師事。2012年、G-studio設立。受賞歴に、12年「第24回工芸美術創工会展」(京都文化博物館)京都府知事賞、13年、「京展」(京都市美術館)京展賞、18年「第3回 日本陶磁協会奨励賞関西展」(京セラ美術館、京都)奨励賞。コレクションに、世界のタイル博物館、市の倉さかずき美術館、法然院、ファエンツァ国際陶芸美術館がある。

 

根本祐杜 Yuto Nemoto
1992年生まれ。2020年、アテネ国立芸術大学交換留学。東京芸術大学大学院博士課程在籍。主な個展に、20年「PERFECT OFFICE」(Aoyama studio164、東京)など。

 

野田ジャスミン Jasmine Noda
1996年タイ生まれ。器物作品および、それらを用いたインスタレーション作品を制作。多面性を持つ現代工芸のカタチを明確にすることを目的に、器物作品を通じて「工芸とアート」の関わりについて言及している。ghostシリーズでは、「割れ」を現象的な装飾技法として用いて、器物造形から用途のみを遊離させ、用途と表側といった対峙する要素の間にあるアンビバレントな表現を行う。主な個展に、「湖面に沈む」(KITAHAMA gallery、大阪)、これまで参加したグループ展に、19年「ART OSAKA 2019」(大阪)、20年「ARTIST’S FAIR KYOTO 2020」(京都)など。

 

平田万葉 Maha Hirata
2017年、京都市立芸術大学美術研究科陶磁器専攻博士前期課程修了(大学院市長賞)。土、石、砂を使い、国内外のフィールドリサーチを通し、インスタレーション、彫刻、ドローイングなどを制作している。主なグループ展に、16年「fabric, light and dirty」(ARTZONE、京都)、17年「六甲ミーツアート 2017」(高山植物園内、兵庫)、19年「Jatiwangi Contemporary Ceramics Biennale & Residence Program 2019」(ジャティワンギ、インドネシア)、19年「Jingdezhen Taoxichuan Art Fair2019」(景徳鎮、中国)、20年「OBJECT/SUBJECT」(ANTEROOM KYOTO、京都)など。

 

堀江まや Maya Horie
1985年島根県生まれ。関西にて陶芸を学ぶ。 土を揉む行為、ろくろの回転、釉薬、窯の構造すべてが好色なものに映ったことをきっかけに制作している。

 

BIEN ビエン
1993 年東京都生まれ。ドローイングを表現するアーティスト。ストリートカルチャーやアニメーションやフィギュアから影響を受けており、これらの文化の持つ様々な表現様式を受け継いだ抽象絵画制作や、インスタレーションを展開。記号的な意味の解体と再構築を試みる。主な個展に、18年「WOOZY WIZARD」(BLOCKHOUSE、東京)、主なグループ展に17年「Reborn-Art Festival」(宮城)、18年「理由なき反抗」(ワタリウム美術館、東京)、20年「PARALLEL ARCHEOLOGY」(OIL by 美術手帖ギャラリー、東京)など。

 

DAISAK ダイサク
1986年京都府生まれ。京都精華大学大学院陶芸専攻修了。時代、国籍、素材を問わず、気になった物、主に置物からヒントを得た上で、物が放つ情報から周辺の風景、どの様な持ち主か、かっこいい登場の仕方などを想像し、それらを再編集する陶芸技法を用いて作品を制作している。

 

DIEGO ディエゴ
街に落ちていたペットボトルや紙くず、路上で見かけたねずみ、 道を走る車など、街で普段何気なく目にするモノをユーモラスに擬人化したキャラクターを抽象絵画として描く。

 

NAZE
1989年茨城県生まれ。グラフィティカルチャーをベースに、触覚的な筆致で描かれるドローイング、スプレーやコラージュを用いたペインティングや、廃棄物を使ったオブジェ、テキスタイルワークなどの作品を制作している。また、contact Gonzoとしても活動を行う。近年の主な展覧会に、「Flowers」(FINCH ARTS、京都、2020)、「ceramic scramble」(ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ、東京、2019)、「net/stoke GRAFFITI」(Vincom Center for Contemporary Art、ベトナム、2017)、「VOCA展2016」(上野の森美術館、東京、2016)、「鉄道芸術祭vol.5」(アートエリアB1、大阪、2015)などがある。

 

□作品販売について
本展出品作品の販売は、渋谷パルコ2F店舗「OIL by 美術手帖」では12月12日(土)17:00から、ECサイト「OIL by 美術手帖」(oil.bijutsutecho.com)では12月14日(月)16:00からとなります。

 

□展覧会概要
「渋谷パルコ陶器売り場」
会場 OIL by 美術手帖
会期 2020年12月12日(土)〜27日(日)会期中無休
開場時間 11:00〜21:00 ※12月12日は17:00〜21:00
住所 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ2階
電話番号 03-6868-3064
※開館状況・開場時間は、渋谷パルコの営業時間に準じます。渋谷パルコ公式ウェブサイトをご確認ください。

Artist Profile

鮎川奈央子、金井悠、高橋臨太郎、田中太郎、谷口晋也、中村譲司、根本祐杜、野田ジャスミン、平田万葉、堀江まや、BIEN、DAISAK、DIEGO、NAZE