■概要
この度OIL by 美術手帖ギャラリーでは、領域を横断した9名の表現者による展覧会「モツレテホドケル」を開催いたします。
本展では、各領域で活躍する作家やデザイナーを招待し、作品とともに作家が影響を受けた書籍等を一同に並べ展示いたします。参加作家の作品の周縁に焦点を当てながら、作品展示、記号とイメージのマインドマップの展開、さらに参加作家の愛読書を起点とした関連書籍を販売します。
マインドマップコーナーでは来場者も自由に展示に参加できるスペースも一部に設け、作家と鑑賞者という垣根を超え、参加者の多種多様な表現や眼差しが交差しながら、共通する問題意識や新しい繋がりの発見を助長できる機会となることを目指します。
また、展覧会期間中は参加作家によるワークショップの開催を数回程度予定しています。
■ステートメント
カオスな街渋谷の、シンボルのひとつであり続ける「渋谷パルコ」。街の混沌に乗じるように、その商業施設2階に位置するOIL by 美術手帖ギャラリーの空間は、中央に展示空間を分断する形で通路動線が通っている。商業施設において花形階である2階に立地していることもあり、美術館やギャラリーといった通常の美術鑑賞体験を求めて訪れる鑑賞者はもちろん、ウィンドウショッピングに練り歩く老若男女が展示空間を横断していくことがOIL の個性ともなっている。
渋谷パルコには建て替え前の2016年までパルコブックセンター渋谷店という書店が併設されていた。特に同書店は一般書や実用書だけでなくアートやサブカルチャー、様々なニッチが取り揃えられた書店であったようだ。こうした大中型書店はただの小売業ではなく時には人々の待ち合わせ場所や休憩場所、偶然新しい知に出会う場所と、さまざまな顔を持った街のインフラとして機能してきた。そうした場所が時代の波と共にこの街から次々と消えていくことの意味は大きい。
芸術観賞においても時代の変化は如実に表れている。SNSによって膨大な情報が可視化されるようになった反面それぞれの情報は端々に切削されている。こうした合理化と資本の風を受け、観賞体験がよりインスタントなものとなるサイクル自体が加速しており、またコロナウィルスや戦争といった脅威が重なり、益々身体性と時間を伴った芸術観賞の機会は人々のライフスタイルから遠ざかりつつある。
これらを踏まえ今回の展示は「複数の参加者(アーティストと鑑賞者) によって協力、自営される本屋」的なものを指標として構築を試みる。作家や鑑賞者の個人的な思考と書店の持つインフラとしての役割を交差させ、知的な緊張感と拠り所的な安心感を混ぜ合わせることで、通常の観賞体験に留まらず参加や対話へと関与のレイヤーを増やし参加者や横断者にとっての新たな発見の場、対話の場となることを目指します。
HIKARU TAKATA(本展主宰)
■販売について
本展出品作品(書籍を除く)は、会場および、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて販売します。
オンライン販売開始|5月5日(金)16:00〜
販売URL|https://oil.bijutsutecho.com/gallery/733
※オンライン公開は、会場販売開始後となるため、公開時点で売り切れの場合がございます。予めご了承ください。
■展示詳細
「モツレテホドケル」
参加アーティスト|JIRO NAGASE、DIEGO、Rakuya Katagiri、YUKHINX、浅野隆昌、石毛健太、池上太郎、beewaa、HIKARU TAKATA
会場|OIL by 美術手帖ギャラリー
会期|2023年5月3日(水)〜22日(月)※会期中無休
開場時間|11:00〜21:00
オープニングレセプション|5月3日(水)19:00〜21:00
入場|無料
主催|OIL by 美術手帖
メインビジュアル・サインデザイン|浅野隆昌
お問い合わせ| oil_gallery@ccc.co.jp
※OIL by 美術手帖の営業時間は館の営業時間に準じます。状況に応じて変更の可能性がございます。最新の情報は渋谷PARCO公式ウェブサイトをご確認ください。 https://shibuya.parco.jp/
Artist Profile
JIRO NAGASE、DIEGO、Rakuya Katagiri、YUKHINX、浅野隆昌、石毛健太、池上太郎、beewaa、HIKARU TAKATA
JIRO NAGASE|
アーティスト。金工、プレス成形、CAD、3Dプリンター等による、工芸的~工業的な手法で“日用・非日用”の道具や装置を制作している。
DIEGO|
アーティスト。街に落ちていたペットボトルや紙くず、路上で見かけたねずみや、道を走る車など、街で普段何気なく目にするモノをユーモラスに擬人化したキャラクターを抽象絵画として描く。
Rakuya Katagiri|
アーティスト。2014年多摩美術大学大学院修了。ボードゲームなどから着想を得たオブジェ、平面制作を行う。野良読書家集団Riverside Reading Club、インディペンデントな活動をする作家集団Sponge Book Storeのメンバーとして活動。
YUKHINX|
アーティスト/インディペンデントバイクメッセンジャー。いつしか自転車のフレームが自身の骨格となって行き、そういった観点から作品を作り続けている。表現方法は、バイクメッセンジャー、写真、文筆、コラージュ、縄文土器、DJ、アートディレクションなど。
浅野隆昌|
グラフィックデザイナー/アートディレクター。1989年生まれ。2015年大阪芸術大学デザイン学科卒業。2019年よりフリーランスとして活動開始。東京在住。
石毛健太|
美術家/エキシビションメーカー/他副業多数。1994年生まれ。最近胃もたれするようになってきた。参加するプロジェクトにUrban Research Group、SCAN THE WORLD、インストールメンツがある。主な個展に2020年「アイオーン」(BIYONG POINT)、21年「ニューグラウンド」(The 5th Floor)など。主な展覧会企画に18年「変容する周辺 近郊、団地」、20年「working/editing 制作と編集」(アキバタマビ21) ほか。
池上太郎|
ガラス作家。物事の残り方に対して興味を持ち、ガラスを用いた表現を行なっている。近年は、「なんとなく」の様なムードや、「ひとごと」というどうしようもなさ、事後的にやってくる抗えない「P.S.」との付き合い方などをテーマに、器や立体作品などを制作、発表している。
beewaa|
アーティスト。1997年生まれ。滋賀県出身。言葉では伝えがたい想いや日々流れゆく感情を現在油絵という表現方法で形にしている。眠りの底からゆっくり浮かび上がってくる映像や日常で感じる無常さをモチーフにすることが多い。
HIKARU TAKATA|
アーティスト。日頃から様々な方法論で継続的かつ不規則的に行う都市での介入行為を制作の根底に置き、それらに関係する記録や個人的な記憶、感情や思考を素材にして制作している。制作が自身にとって個に内在する空間と現象、外在する宇宙的な空間と現象との繋がりを認識し、その様を捉えるために日々継続される訓練のうちの一部分となっている。
EVENT
オープニングレセプション
2023年5月3日(水祝)19:00〜21:00
参加無料・予約不要